文芸ヌー

生活に負担のないブンガクを。 文芸ヌー

ごあいさつ (天久聖一)

文芸というとなにやら高尚に聞こえるけれど、つまりは文をつかった芸である。私にとって文芸は、芸術というより演芸に近い。高い理想を追うよりも、もっと身近な相手を想定したささやかな自己表現。 その芸は巧くなくていい、磨かれてなくていい。どうにかこ…

スナック青い鳥(伊勢崎おかめ)

今夜は雨降りだからかお客さんが来ないねぇ、アケミちゃん。ちょいと灰皿取ってくれるかい?あぁ、悪いねぇ。しばらくお客さんも来なさそうだし、アタシの昔話でもしようか。 アタシんち、父ちゃんが酒乱でろくに働きもしないから、母ちゃんが内職してアタシ…

夏風 (紀野珍)

背中を撫でられた感触で目が覚める。 顔を上げると、一面の白。その白は波打っていた。 ——ああ、カーテンか。 窓から吹き込む風を受けて、ヨットの帆のようにカーテンが大きく膨らんでいた。 ここは教室。自分の席。寝起きの頭を駆動し、状況を把握する。ど…

17,18/101(xissa)

他人の家のさわやかな朝 /途中の空を見上げる

スサタチリイナカカエマテアドフヨセケホヒマモコクバニカスナ(もんぜん)

スサタチリイナカカエマテアドフヨセケホヒマモコクバニカスナに育てられた少年が見つかった。 少年は長野県の森の奥で発見された。少年は四足歩行で言語能力はなく、何を聞いても「うがぁ」とか「ぐわぁ」としか言わなかった。ただ少年は紙切れを握っていて…

文学に夢中作左衛門(ボーフラ)

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五月十七日、木曜日 (紀野珍)

約束の時間からちょうど三十分遅れで店に着いた。 予約している旨を店員に告げると、こちらへどうぞと奥の個室に案内される。週末の居酒屋は、仕事終わりの勤め人や喧しい学生らでごった返していた。 四人掛けの座敷席に澤野と千穂がいた。 「おう、お疲れ。…