文芸ヌー

生活に負担の少ないブンガクを。 文芸ヌー

落ちる(puzzzle)

 こんなところで足を滑らせたらそりゃ誰だって落ちる。足を振り上げて尻から落ちる。頭が重いからすぐに真っ逆さま。散々尻が大きいと笑われてきたけれど、ほら見なさい。でも、尻が重いと言われてきたわけではない。大きくて軽いからすぐに逆さまになるのかしら。
 今こそこのふくよかな尻を活かす時。なんとか尻から着地ができたならば、ヒップでホップして助かるに違いない。何より頭を守るのだ。私が私であるために、頭に血が通わなければならない。尻で頭を守るのだ。まずはその距離を縮めるべきだと考える。
 背面に反り返って頭が尻につくほど軟体ではない。尻についたところで頭は守れない。やはりここは両膝を抱えて丸くなるべき。空に尻を向けて体育座り。途端、両腕の中に風を受け、身体は回転しはじめた。でんぐり返りの方向へ、尻が下がりはじめ頭が持ち上がる。しかし、尻が下がったところで具合よく回転が止む分けでない。すぐに頭は下がり一回転。そして、また風を抱えて起き上がる。
 人生が走馬灯のごとく蘇る。私は走馬灯が何物であるか知らない。思い浮かべているのはきっとあれ。雛人形の両脇に飾られていたあれ。ぼんぼり。回転数は増し、毎分33回転。歌でも口ずさみたくなる。
 明かりをつけましょ ぼんぼりに♪
 お花をあげましょ 桃の花♪
 やがて回転数がコントロールできることに気づく。両脇の開き具合で制御可能であることを発見したのだ。歌のリズムに合わせて回転数を確認する。
 五ぉ人囃子の 笛太鼓♪
 五ぉ人囃子の 笛太鼓♪
 頭が下りる度、落下点までの距離を目測。33回転もすれば落下の加速度が算出できた。回転制御なら完璧にマスターした。ここで確信する。
 私は助かる。
 そして、ヒップでホップして、ステップ、ジャンプ。