文芸ヌー

生活に負担の少ないブンガクを。 文芸ヌー

爆発定時 (井沢)

チェックイン・カウンターにて

「お客様は2個ラゲージでよろしかったですか?」

「はい?」

周囲を見回し

「ああ、えっと…そう、ニコラス・ケイジです。」

「失礼いたしました。お客様は何個ラゲージですか?」

「1個…ラゲージですけど。」

「かしこまりました。」

聞き違うケイジ。

「自己紹介しちゃったよ。」

と漏らすケイジ、荷札を呈示。
荷捌き名人、手早く計量。

「えーお客様はボスポラス経由」

「するんだ。」

「水戸が流刑地。」

「うん。」

「搭乗口は2、5、らすゲートになります。」

「らす?」

「らす?」

「今、2、5、らすゲートって」

「嘘、あれニコラスケイジじゃない?」

ばれだすケイジ

「それでは行ってらっしゃいませ。」

聞き逃した。
口尖らすケイジ

「らすゲートって何処なんだ。」

「とりあえず2、5ゲートを探そう。」

つまづくケイジ。足元にもう1ラゲージ。
しまった。これも預けないと仕事にならない。何をやっているんだ俺は。
身をよじり振り返り

「すいませーん!やっぱり僕2個ラゲージ!」

「やっぱり、あれニコラスケイジだよ!」

場を去るケイジ
ロビーの窓が光ったかと思うと
全て影絵に
破片が飛び散る爆風の中
にこやかケイジ、足早に去り
ー暗転ー