文芸ヌー

生活に負担の少ないブンガクを。 文芸ヌー

『医者と患者』 (正夢の3人目)

明転。舞台上手に机と椅子(机は引き出しのついたちゃんとした物)。白衣を着た医者(ロボット)が椅子に座ってカルテを見ている。

医者「次の方どうぞー。」

SE、ドアの開く音。患者(妖怪)入ってくる。

医者「どうなさいました?」
患者「昨日から熱があって…」
医者「なるほど。ではちょっと測ってみましょう。」

医者、右手からマイクロ素粒子光線(あるいはそれに準ずるもの)を患者に向けて照射する。

患者「うわわわっ!」

患者、驚いて跳ね上がり、壁を蹴って天井に張りつくと逆さにブラ下がる。

患者「ちょっと、何するんです。」
医者「ああ、すみません。熱を測ろうと思いまして。」
患者「そうだったんですか。」

患者、地面に降り立つ。

医者「では、測りますね。ピカー。ええと、12度。平熱は?」
患者「0度です。」
医者「ふむ。では熱があるようですね。それでは注射を打ちましょう。安田くーん。」

上手から看護師の制服を着た安田(巨人)入ってくる。

安田「ウガ」
医者「注射を打つから用意してくれたまえ。」
安田「ウガ」

安田、上手にはける。

患者「注射かー。怖いなー。」
医者「男なら怖がってはいけませんよ。あれ? 男ですよね? あ、乳房はあるんですね。こりゃ失礼。」
患者「怖いなー、怖いなー。」

安田、上手から「安田サイズ」の注射器を持って登場。
患者、驚いて後ろに飛び下がり、毛を逆立てて筋肉を増強させる(戦闘態勢)

患者「ちょっと! なんですかそれは!」
医者「注射です。」
安田「ウガ」
患者「そんな大きさの注射、僕はだいだら和尚じゃないんですよ!?」
医者「大丈夫ですよ。ああ、逃げないで。そら、捕まえろ。」

医者、フォームチェンジ。手足のパーツを切り離して空中へ。患者、ビームをよけながら空中を舞う医者の手足を叩き落とす。そこを安田がひょいとつまみ上げる。

患者「うひゃー。」
医者「さぁ観念なさい。」
安田「ウガ」
患者「助けて、神様ー。」

舞台中央、奇跡によって真ん中から空間が裂け、神(本物の神)が現れる。

神「呼んだかーい?」
患者「あっ、神様! 助けてください!」
神「よしきた!」

一万発の雷が降る。舞台、客席、共に消し炭に変わる。

神「ありゃりゃ。やりすぎてしまった。(はにかんで)こりゃもう一度世界を創り直しだな。」

SE、オチっぽい面白い音。暗転。了。