文芸ヌー

生活に負担の少ないブンガクを。 文芸ヌー

デート (イワモト)

(死刑台に囚人服の女が立っている)
(首吊り用のロープが、何故か2本ぶら下がっている)
(刑務官の男が女の元に焦りながら駆け寄ってくる)

男:待った?(と言いながら片方のロープに自らの首を引っ掛ける)
女:(そっぽを向いて)遅い!
男:怒らないでこっちを向いてくれよ。その服、お洒落で凄く可愛いよ!(正面から両手で女の肩を掴む)
女:(そっぽを向いたまま)可愛いのは服だけ?
男:もちろん、君も可愛いよ。頼むから機嫌直してくれよ。
女:(男の方を向いて)うん。分かった。
男:ねえ。今の僕達の格好、ちょっと前に流行ったアレに似てない?
女:アレ?…あっ、アレね!せっかくだからやってみようか?
男:そうだね。じゃあいくよ。せーの、
男女:イエス!フォーリンラブ!
(首を90度曲げたことにより、男の首からはロープかはずれ、逆に女の首にはロープが引っ掛かった。)
(すかさず暗転し、床の抜ける音)
(サティの「ジムノペディ」が流れる中、二人の思い出の写真がスクリーンに映る)
(5分後、舞台が明るくなり、死刑台に一人で立つ男ガチャ腕時計を見ながら)
男:14時10分、死刑執行(暗転 ~終わり~)