文芸ヌー

生活に負担の少ないブンガクを。 文芸ヌー

回遊の果て (吉田髑髏)

うたたねしている又郎の体内

動脈
ヘモ男「なぁ、俺等働き過ぎじゃね?そろそろ休み欲しくね?ハワイに行きたいわぁ」
ヘモ美「そんなん言うたかてワテらが動かな誰が動くねん」
ヘモ男「心臓御大と肺ジイが直接みんなに渡せばいいんだよ、酸素」
ヘモ美「そんな殺生な事言うたらあかん!最近あの方々めっちゃしんどそうやねんから」

肝臓
ヘモ男「肝臓先生、酸素もってきました。ここ置いておきますね」
肝臓「いつもありがとう…と言うとでも思ったか!無駄口叩かずさっさとおいて立ち去れ!」


肝臓を離れ、静脈
ヘモ男「肝臓腹立つなー!俺等いなきゃ何もできないくせに!」
ヘモ美「無口な肝臓先生が話すなんて珍しい事もあるんやね」
ヘモ男「アルコール摂取して酔っぱらってんじゃねーか!腹立つなー」
ヘモ美「気分切り替えよ。次は脳様のところへ運ぶルートや」
ヘモ男「けっ、臓器ばかりモテやがって割りに合わねーっつーの。売られりゃいいのに」

心臓、左心室
ヘモ美「はぁ~、酸素生き返る~」
ヘモ男「えっ!?俺の酸素これだけ??」
心臓「…」
ヘモ男「御大!もう少し酸素下さいよぉ」
心臓「…」

大動脈
ヘモ男「俺、嫌われてる?ねぇ?」
ヘモ美「そんな事あらへんと思うけど…」
ヘモ男「今日はついてねーなー。やっぱり休みもらう。もしくは採血で外へ出る」
ヘモ美「ヘモ男、外出たらもう回遊できへんねんでっ!遠心分離機って拷問が待ってるんよ!それでもいいん?」
ヘモ男「もういい!俺は休む!動かん!」
ヘモ美「動かんいうても、御大の力でワテら流れて…」
ヘモ男「どうした?」
ヘモ美「ワテらさっきから動いてへんで…ほら、あそこの瘤が動いてへん…」
ヘモ男「どういうこと?」
ヘモ美「世界の終り」
ヘモ男「冗談?ウケないんだけど」

又郎、老衰により大往生。
享年105歳