文芸ヌー

生活に負担の少ないブンガクを。 文芸ヌー

書き出し自選・ビールおかわりの5作品(ビールおかわり)

こんにちは、ビールおかわりと申します。
 
実話が面白すぎる・強すぎるマークパン助さんからバトンを受け取りまして今回の書き出し自選を担当することとなりました。

パン助さんとは書き出し作家さんとの飲み会にド緊張しながら初参加した際、同じくパン助さんも初参加されており、それ以来会うたび楽しくお話させてもらってます。
 
僕が書き出し小説を知ったのはフォローしてる方のツイートがきっかけでした。50半ば回の頃でしょうか。そんなのがあるんだと思いながらリンク先を覗いてみると、想像だにしなかった世界に引き込んでくれる書き出しに、おおーっと心の中で声をあげる始末。お、おもしろい。。。と同時に自分には書けない、というのが第一印象でした。当時僕はラジオや雑誌の投稿コーナーに投稿してましたが明らかに使う脳みそが違う、持ち合わせていない発想と表現だと直感しました。
 
じゃあなぜ書き出し小説に投稿をすることになったのか?これまた前述の方のツイートによるものでした。採用されましたツイートを見たのです。その出来事に背中を押されまして、ダメもとでやってみるかと思ったのが最後、気が付くと5年以上続けることとなったのです。
 
続けてみるといくらか採用作品は溜まるもんで。いやー、パン助さんの後の自選はパンチが弱いなあと思いながらも選んだ5つを紹介します。
 
 
 

ほうれい線に沿って流れた彼女の涙は、しゃくれたアゴのところで跳ねたように見えた。
(第61回 自由部門)

 
何か考える際、なぜかいつも勝手に降りてくる言葉があります。笙、芝犬、猿、三節棍などなど。うまく使えたためしがない反復横跳び、雲梯なんかもしょっちゅう邪魔してきます。
当時のそれは「ほうれい線」でした。また出てきたよ、ほうれい線。どう扱えばいいんだよ。そう思いながらほうれい線周りを考え、考え、諦めかけてまた考え、やっと出てきた涙。涙は高いところから低いところへ流れるのは自然の法則。でもちょっと抵抗したくて跳ねさせました。
初投稿にして「挫折を経て、猫は丸くなった」にも掲載された思い入れのある作品です。
 
 

猿にとってトングは掴むものではなく鳴らすものだ。
(第136回 自由部門)
 
ヘリコプターさんの「多分トングのようなもので挟まれている。」(第92回 自由部門)の影響はあるかないか?と言えば、絶対あります。とはいえ第92回(2016年2月21日)から第136回(2017年12月10日)までには1年半以上あります。なのになぜ影響を受けたのか?1つ目にも書いた言葉たち同様「トング」が頭から離れない日々が続いていたからです。「トング」という響きもどこか放っておけない間抜けさがあり、常に頭の片隅でカチカチ、カチカチ。
さて、どの様にトングを使おうか。。。パン屋ではみんな本能的にカチカチしてるじゃないか、掴むものなのに。掴むものと知ってるのにですよ。じゃあ知らなかったら?でこの作品です。
 
 

わがままな猿が京劇に怯えている。
(第149回 自由部門)
 
また猿?そうですよ、また猿です。その週、ふと京劇のことが頭に浮かびました。
確か瞬時に顔変化させるよな。派手な顔から派手な顔に。ずっと派手でずっと怖い顔。あの顔猿なんだっけ?猿が見たら驚くだろうな、いや、怖いだろうな。
そうやって京劇のことを調べもせず想像だけで妄想を膨らませました。
どんな猿を怯えさせようか。怯えとは程遠いのが面白いなとは思いましたがそれからかなり迷いまして。。。で結局、わがままな猿を怯えさせました。
 
 
 
瓢箪に入れた水がまずい。
(第163回 自由部門)
 
小学生のころ、僕のヒーローはジャッキーチェンでした。蛇拳、笑拳、木人拳。酔拳もありましたね。蛇はまだしも、笑ってどうして強くなるんだ?酔えば酔うほど強くなるってどういうこと!?と思いながらもとにかくジャッキーに夢中な少年でした。
ジャッキー映画の中でも酔拳は一番好きで、トレーニングもよく真似してました。乱闘が起こる食堂でジャッキーが食べてた物、とてもうまそうに思えましたね。そして酔拳と言えば酒、瓢箪に入れた酒。ジャッキーは長めの箸で肉をつまみながら肩に掲げた瓢箪からこれまたうまそうに酒を飲むのです。憧れましたねえ、瓢箪に入れた酒。
酔拳見てからどれくらい経ってたでしょうか、ある日台所に15センチほどの瓢箪があるのを見つけました。うれしかった。あれができる!と少年時代の僕は早速その瓢箪に飛びつきました。さすがに酒はダメなので水道水をその瓢箪に注ぎ、いざ瓢箪から飲む!夢がかなった瞬間です。しかし、しかし瓢箪に入れた水は恐ろしくまずかったのです。
それは瓢箪の味なのか?そもそも瓢箪に入ってたものを確かめずに実行してたのでなんの味かはわかりません。
そんな苦い思い出(実話。
 
 

老眼の私は懸命に舌を伸ばした。
(第178回 規定部門「官能小説」)
 
天久さんが月一レギュラーとなっている、大竹まことさんのラジオ番組「ゴールデンラジオ大竹紳士交遊録」にて紹介してくれました。
年々老眼が進みいよいよ老眼鏡がなければ字が書けなくなってきてます。視力は両目とも1.2以上あるのに、近くのものがぼやける。見たいものがうまく見えず思わず顔を遠ざける。そんな日々が続いている中書いたのがこれです。無事掲載されたものの天久さんのコメントもなくどれだけ伝わったのか不安だったのですが、「大竹さんに是非紹介したい」と天久さんが前振りしてからのラジオでの紹介です。大竹さん、天久さんなど男性陣は大いに盛り上がり、その隣で光浦さんは一人閉口。伝わってると実感しとてもうれしかった放送でした。うれしくてradikoのタイムフリーで10回近く繰り返し聞いた気がします。
書き出し小説イベントで作品が朗読されることもありますが、耳で聞く書き出し小説もいいものです。
 
 
と、以上が僕の書き出し自選です。
 
 
さて次回の書き出し自選はたこフェリーさんにバトンを渡したいと思います。
たこフェリーさんとはドドド緊張して初参加したバカサイ忘年会で同じテーブルになってからのお付き合いです。深夜ラジオで何度か聞いてくれていた僕のラジオネームを覚えてくれてたことでずいぶん緊張がほぐれたことを覚えています。以来毎年一回、忘年会でお会いしかれこれ8年ほどのお付き合いになるでしょうか。

ではたこフェリーさん、お願いしまーす。