文芸ヌー

生活に負担の少ないブンガクを。 文芸ヌー

Gyukaku Poemu(伊勢崎おかめ)

他国の人たちのことはどうだか知らないが、日本人は、横文字、とりわけ英語をかっこいいと思っている人が多いように思う。街にあふれる英語の看板、英単語がプリントされた服や物、英語の社名や商品名、幼少期からの英語教育、英語、英語、英語…。せっかく美しい日本語のある国に生まれたのだから、たとえ外国から入ってきた言葉であっても、もっと日本語に置き換えればよいのに、と嘆かわしく思う。

 

カタカナでしか表記できない言葉も増えているので、それはやむを得ないとは思う。インフルエンサー。何だこれは。初めて聞いた人や高齢者の方などは、絶対に「インフルエンザ」の間違いだと思うだろう。かといって、この言葉を日本語にすると「言動に大きな影響力がある人」であるが、これだと言いにくく、しかも他の日本語に置き換えることが難しいため、「インフルエンサー」と言うしかないのかもしれない。しかし、日本語に置き換えたほうがわかりやすいのに、わざわざ英語を使ってかっこよく思わせようとしている言葉もあると思う。

 

小学3年生の頃だったろうか、母親が買ってきた黒いセーターにでかでかと「amai DREAM」(甘い夢?)という文字と虹の絵が編まれており、恥ずかしさのあまり「こんなん着るんイヤや!」と泣いて拒否したことをよく覚えている。今でも、英単語や英文が印刷された洋服やバッグは恥ずかしくて着られないし持てない。考えてみると、エルメスやクリスチャン・ディオールといったブランド名は、創業者やデザイナーの名前である。たとえば、日本に「山田」というブランドがあり、そこのデザイナーが山田三郎だったとして、山田社製のかばんに「山田三郎」と書いてあったら、恥ずかしくて使いたくない。だから私は、たとえそれがローマ字で書いてあっても、人名入りの商品を使うのは恥ずかしいので、ブランドのロゴの入った海外製品を使いたくない。

 

日本人特有の発音も問題である。どんなに子供たちに英語の早期教育を施したところで、マスコミ等が「award」のことを「アワード」と大々的にカタカナ表記してしまうのだからいただけない。戦争の「war」を「ワー」と言いますか?「STAR WARS」は「スターウォーズ」と発音するでしょ?だから「award」は「アウォード」なんです、と、「アワード」と言っている人、一人ひとりに言ってまわりたい気持ちになる。

 

とりわけ腰を抜かしそうになったのが、牛角の入り口付近にでかでかと描かれてているこれらの文章である。

「anata ni totte ichiban no omise ni naritai.

kataomoi no gyu-kaku desu.」

「tongu wo futatu motu to barutan seijin mitai desu.

“?” wakaranai kata ha papa ka mama ni kiite ne.」

なんでわざわざ日本語をローマ字で表記しているのか。内容も全く面白くない。社の広報担当者が、ローマ字で表記することをかっこいいと思っているが、言いたいことが正確に英語で書けないし、お客さんにも伝わらないだろうからと判断して、こういう書き方をしているのだろうか。私はこれを「牛角ポエム」と呼んでいるのだが、今のところ確認できている牛角ポエムは、この2種類のみである。こういうものを見るたび、日本の英語教育の敗北を感じざるを得ない。

 

【問】上記の文章のなかに、外来語はいくつあるでしょうか。