xissa
叶わないまたねがポケットの中に/甘えていますが知らない猫です
満月これは土の匂い/自意識前髪で隠す
海の上風ばかり/切った裾も貰う
酢豚のタマネギが白い/校舎の湾曲をすべる夕陽
行ったきり帰って来やしない/結末が思い出せない
贈るとは言い難く梱包する/凍るユリカモメの赤い脚
シャボン玉みたいに触ると消えるもの/そのように生まれたものだから
空耳たぐりよせる/踊らぬ阿呆が凝視している
鍋奉行がヤバい/ひなた剥がしてきて眠る
傘の柄で漸く引っかかっている/『村田』の柄杓を黙って借りる
貝柱に秋の風/さびしい場所でスイカが冷えている
ひまわりの影が細い/捨てられた扇風機が空を見上げている
旨いが二度と作れない/全部売り切れ
あめ玉は夕焼けのように溶けてしまった/失くす以前に持ってなかった
土踏まずは知らない泥の道/人のつむじしか見るものがない
空瓶美しく酔っている
ワイパー空振って町は滲んでいる/灼けつく駐車場の無口
港町錆びて軋む
xissaです。きさ、と読みます。 ほんとにそう読んでいいのかどうか、私も詳しいことはわかりません。 検索すると「もしかしてissa?」と訊かれますが私はDA PUMPではありません。USAではないのです。 私のxissaは ここの、 ここ です。行ったことはありませ…
おみくじが良すぎる/制服の自分が他人だった
我に返る自分がない/コンビニ明るい淋しい
今日の分の味噌を掬う
電車の中で誰ですかかぼすの匂い
パチンコ店喫茶白ばら総菜屋の並び/アンティークといえばそうだが
背中の夕焼けがすごいらしい
他人の家のさわやかな朝 /途中の空を見上げる
引き返し時見失ってさらに右折
変則五差路を数えなおす/まっすぐすぎる道で暑い
陽ざらしの洗濯バサミ砕ける/早朝のわたり鳥をひとりで見ていた/宵の口にうつむく水銀灯
ひとくち飲んで注ぎ足す麦茶