文芸ヌー

生活に負担の少ないブンガクを。 文芸ヌー

モテないサルはムカデが怖い(うにねこ)

皆様ご機嫌麗しく。今宵の案内人、うにねこです。ねこにゃー!(挨拶)

今から1つ、昔話をいたしましょう。

 

昔々の太古の昔、1匹のサルがいました。

サルは、厳密には今のようなサルではありませんが、便宜上サルと呼びます。

 

サルは、仲間のサルたちと一緒に海辺で暮らしていました。岩場の虫や、小さなカニや、潮だまりに残ってしまった小魚やエビを食べ、夜は大きな崖や岩場に出来た洞窟の奥で眠りました。辺りの食べ物が少なくなると海岸を移動し、似たような洞窟を見つけるとそこでまたしばらく暮らしました。

 

あるとき、新しく見つけた洞窟の奥が大きなムカデの巣になっていました。太古のムカデは現代よりも何倍も大きく、またムカデは毒性が強くとても獰猛なので、他の毒虫さえ餌にしていました。当時、洞窟のような環境では最も危険な生き物でした。

 

サルたちは、ムカデを見たことがありませんでした。好奇心の強い仲間のサルの1匹が、興味を持ってムカデに近づいていきました。そのサルはムカデに噛みつかれ、痛みに悶えている間にムカデに喰われ始めました。それを見ていたサルと残りの仲間たちは、慌てて逃げ出しました。サルは、ああいう形の生き物は危ない、怖い、近づかない方がいいと思いました。

 

またあるとき、同じように暮らしていた少数の別のサル集団と出会いました。その頃には、サルの仲間たちは海に吞まれたり毒虫に噛まれたりして少なくなっていました。別のサル集団も、仲間たちが海に吞まれたり毒虫に噛まれたりして少なくなっていたため、2つのサル集団は一緒に暮らすようになりました。

 

しかし新たに産まれた子サルたちは、ムカデを見ても怖いと思わないため、好奇心から近寄って喰われることがありました。そうすると、だんだん、ムカデを見て学習しないと学べないサルよりも、なんとなく本能的にああいう形の生き物を気持ち悪いとか怖いと感じるサルとその子サルたちが生き残りやすくなっていきました。その結果、海辺で暮らすサルたちの子孫には、本能的にムカデのようなものを理由もなく怖いと感じる遺伝子が受け継がれていきました。

 

一方その頃、同じような時間軸で、森に棲むサルがいました。森のサルは樹上生活をしていました。最大の天敵は大蛇でした。森に棲むサルたちの子孫には、本能的にヘビのようなものを理由もなく怖いと感じる遺伝子が受け継がれていきました。

 

そして、色々な環境変化と長い長い年月の果てにサルたちの住処も変わり、サルたちも、別のサル的な何かに進化していきました。火を起こし、言葉を使い、携帯を使ってSNSをするようになりました。それが今の私たちです。

ここでめでたしめでたし、とはいきません。なぜなら、私がモテないからです。

 

なぜ私がオスとしてモテないのかと考えた時に、この昔話に辿り着きました。きっと世の女性たちは恐らく、本能的にムカデよりもヘビが怖いのではないでしょうか。何となく、森の樹上生活が懐かしくて木のぬくもりとか思っちゃうのではないでしょうか。何となく、同じように森で樹上生活していた本能的にヘビを怖いと思うオスのサルの方が、子孫が生き残りそうな気がしてそっちに惹かれてしまうのではないでしょうか。

 

なぜなら、私がモテないからです。

 

私はムカデの方が気持ち悪いと感じる方の、海辺のサルの子孫です。ヘビはなんならカッコイイとすら思います。こんなオスの子を産んだらヘビを見ても怖がらずに食べられちゃうって無意識に感じて避けてるのではないでしょうか。

 

女性の皆さん、大丈夫ですよ。現代日本では大蛇が襲ってくることはまずありませんから、安心して僕に寄ってきてください。モテたいんです。モテさせてください。お願いします。

 

でも最終的にこういう話しかしないから今日もモテない。ちゃんちゃん。