文芸ヌー

生活に負担のないブンガクを。 文芸ヌー

タメ口 (大伴)

世の中の店員さんを観察していると、2つのタイプが存在することに気が付きます。それは「子供にタメ口を使うタイプ」と「子供相手でも敬語でやり通すタイプ」です。前者は客が子供だと判断すると「ちょっとまってねー」「ありがとねー」といった調子でフランクに接します。後者はたとえ相手が幼児だった場合でも「お待たせ致しました」「お箸は何膳おつけしますか」とマニュアルどおりに接します。前者は楽しくて気持ち良さそうですが、後者も割り切っていてラクといえばラクでしょう。前者について僕がすこし興味を持っているのは、タメ口で接する相手と敬語を使う相手の線引きはどこらへんなのか?という点です。幼稚園児だったらもちろんタメ口でしょうね。高校生なら敬語かもしれません。すごく子供っぽい中学生はどうでしょう。どこらへんで判断して切り替えているのか、調べてみる価値はありそうです。
タメ口で思い出したのですが(話がそれて申し訳ないのですが)以前スーパーで買い物をしていてカゴを持った親子とすれ違った際に子供のほうに軽くぶつかってしまい、本来ならぶつかったその子にまず「ごめんね!」と謝るべきところ、反射的に隣にいるお母さんのほうに向かって「ごめんなさい!」と謝ってしまったことがありました。これは自分としてはとてもひどいことをしてしまったと反省していて、なぜかというと自分はその時、心の底ではその子を「ひとつの人格」とは考えておらず、あくまで「親のもの」という位置にとらえてしまっていたのだと思うからです。言い訳はできない大変失礼な話です。そのあとちゃんと子供のほうに向きなおって「ごめんね」とは言ったものの、時すでに遅し、子供はもうそこにはおらず、振り返れば親も消えていて、ぐっしょりと濡れたカゴだけが落ちていました。


(終)