文芸ヌー

生活に負担の少ないブンガクを。 文芸ヌー

作文

パチスロ青春記(もんぜん)

自転車のべダルを必死に漕いだ。早く着きたいという気持ちがスピードへ変わっていく。心地よい風に幸運が訪れる予感がした。 着いた。ウエスタソ西葛西店。朝の7時にも関わらず、既に10人ぐらいの人が並んでいた。たかがパチスロのために全力を尽くす僕たち…

猫のような寝顔なのさ。(トミ子)

彼女は言う。「デート中で一番楽しいのは電車の中だ。くっついてるのが楽しい。」って。マスクをして、下を向いて俯く。めちゃくちゃひっついてるけど、気づいたら寝てる。喋れないし。でも彼女はそれが一番楽しいって言う。 彼女は説明が嫌いと言う。説明は…

42,43/101(xissa)

傘の柄で漸く引っかかっている/『村田』の柄杓を黙って借りる

ト凸凹芋(puzzzle)

アパートから線路を越えた側のスーパーマーケット、そこで売っているホタテの掻き揚げが好きだった。休日でなければまず足を運ばない。私は自動ドアを抜けると迷わずお総菜コーナーへ向かう。タマネギに包まれたホタテをカウントして、天ぷらパックを手にと…

同じ素材でできた別の町(井沢)

町内にある「びよういん」の椅子に座る。椅子の上には子供の座高を調整するために大きな消しゴムのような革張りの台が乗せられていた。これ、嫌だな。こどもみたい。いつになったら皆と同じように普通に椅子に座れるのだろう。ただ椅子に座るだけのことなの…

40,41/101(xissa)

貝柱に秋の風/さびしい場所でスイカが冷えている

はじまりは小栗旬(伊勢崎おかめ)

「小栗旬っているじゃん?俳優の」 「え?『ウシジマくん』に主演してた人?」 「違う、それは山田孝之」 「あたしが言ってんのは小栗句」 「ああ、山田優と結婚した?」 「そう、小栗甸」 「で?」 「こないださ、取引先と合コンしたんだけど、そこに超ブサ…

38,39/101(xissa)

ひまわりの影が細い/捨てられた扇風機が空を見上げている

亀と白ギャルと私(伊勢崎おかめ)

私の家は、田と畑に囲まれている。そして、野球場が10個は入るであろう巨大な池が近くにある。毎年、5月から7月頃にかけて、その池から亀が上がってくる。毎シーズン10匹前後は目撃する。体長25cm程のアカミミガメである。彼らは外来種であるので、…

もち米に罪はない

靴底に小さな中曽根が詰まっていた。春はニンニクである。魚の寝言はシチリアの風に吹かれたのであろうか? 吉岡は獨協大学出身だった。よく洗えていないフライパンを証拠として提出した。反復横飛びにおいて、反復がもっとも大事であることは言うまでもない…

日々(ボーフラ)

私が精神病棟の取材を終えて、帰りしな、自販機でコカ・コーラを買った時の事だった。旧知の知人に声をかけられた。彼はこの病棟で働いている。LINEを交換して、私はアパートに帰った。 そのまま連絡をする訳でもなく、私は、精神病棟の取材と並行して、ひき…

台所刑事(ゆふ)

クリアなスープと違い、チゲはアクも一緒に煮込む事で旨味が増す。 グツグツと煮えたぎる赤い汁を見ているうちに確信を持ち。携帯を手に取った。 「道明寺、被害者の子ども達の保育園を調べて。」 「深田さん、今何時だと思ってんすか!」 「朝の4時よ。チゲ…

36,37/101(xissa)

旨いが二度と作れない/全部売り切れ

錯覚をパラパラっと(哲ロマ)

【かき氷のシロップは色が違うだけで実は味全部同じ】緑色のシロップでメロン味、赤いシロップでイチゴ味、黄色でレモン味、色が違うだけでそういう味だと錯覚して食べている。実はその味は全部同じらしい。錯覚。ずっとそうだと思い込んでいたものが実は錯…

34,35/101(xissa)

あめ玉も夕焼けもすぐ溶けてしまう/失くす以前に持ってなかった

あはれならざる時間(伊勢崎おかめ)

かの清少納言は『枕草子』にこう記した。 「秋は、夕暮。夕日のさして、山の端いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛び急ぐさへあはれなり」 あっそ。じゃあ私は、あはれでないと思うものを挙げてみよう。逆に。 それは、…

32,33/101(xissa)

土踏まずは知らない泥の道/人のつむじしか見るものがない

パワハラ部長 (ボーフラ)

2004年12月5日 7:05:31 天気は晴天。だが心は本当にブルーだ。 今日も部長のパワハラがある。だが、こうやって ブログにそれを書けているというのが、数か月前と 比べて僕の進歩だ。 2004年12月8日 23:55:04 部長の失敗は、僕の失敗になった。具体的に 書け…

上/下品(伊勢崎おかめ)

現在、小学5年生の息子から聞いた話である。 息子が4年生の時、5年生の担任に、「出っ歯でメガネの痩せたおばさん」先生(以下、X先生とする)がいたらしい。X先生の指導は非常に厳しく、授業中のみならず、休み時間中であっても、児童が不適切な発言や…

31/101(xissa)

空瓶美しく酔っている

ただ夜を走る(哲ロマ)

帰宅する。今日もなかなかハードな一日だった。靴を脱ぎ鞄を降ろし、ふと時計に目をやる。迷ってはいない、答えは決めていた。迷っているフリをしただけだ。やれやれ、疲れたんじゃないのか、お前もしかして、やるつもりかいもう一人の自分が呆れて僕に語り…

散文詩(ボーブラ)

僕は電車を待っていた。とても疲れているので、駅のホームに座り込む。喉がひどく乾くので、ペットボトルのお茶を飲む。それでも足りないので、妹が持たせてくれた水筒を飲む。もうまるで立ち上がれないみたいだ。 電車がゆっくりと近付いてくる。僕は奇声を…

ミスチル (渡辺宏)

渡辺宏さんは、町役場を定年退職したのちリタイアライフを謳歌する、御年71歳の謹厳実直な男性です。

29,30/101(xissa)

ワイパー空振って町は滲んでいる/灼けつく駐車場の無口

CM考察~フジパン本仕込編~(伊勢崎おかめ)

そのCMを見て、「あんた誰やねん!?」と思った。何のCMの誰に対してそう思ったのか。2019年3月上旬現在放映されている、フジパン本仕込のCMに出演している、女優の松下由樹氏に対してである。 画像を貼れば「あぁ、このCMか」とすぐご理解頂け…

田舎の駅にて(ボーフラ)

ローカル線の知らない駅に用事があり、下車した。駅前にある自販機に、ここにしかない珈琲があると、ネットで読んだ。僕がそれらしき自販機に近付くと、その自販機は既に営業を停止していた。ネットの写真自体が嘘だった。そもそも場所が違う。騙された。次…

井筒監督 (大伴)

先月の話。近所の焼き鳥屋にひとりで入店。カウンター席に案内されると、左5メートルほど離れた席に先客がいた。男はすでに酔っ払っている雰囲気で、カウンター内の店長と会話に花を咲かせていた。僕はそちらを直視することはなかったが、その特徴的なダミ声…

全力フィーカ(哲ロマ)

スウェーデンにはフィーカの習慣があるのだとカーラジオが言っていた。 フィーカとは何なのか、フィーカとは、まあ、ラジオから聞いた情報を自分なりにまとめてざっくり言うと、同僚、友人、恋人、家族とコーヒーやら紅茶やらを飲んだりパンやらお菓子やらを…

勝手に寄り添わないでください(伊勢崎おかめ)

近年、主にサービス業の広告などでよく目や耳にする言葉がある。 それは「寄り添う」である。 ・お客様一人ひとりに寄り添う対応を実現するために ・お客様にそっと寄り添うサービスを ・「まごころ」を込めてお客様に寄り添う これらは実際に広告で用いられ…

28/101(xissa)

港町錆びて軋む