文芸ヌー

生活に負担の少ないブンガクを。 文芸ヌー

作文

ジョン・レノンが聴こえる(哲ロマ)

あっしは網戸。しばしば外れる。この家のベランダと部屋を仕切っている。名前はま、、、ごめんでやんす。言ってる側から外れちまいやした。そうですな、こんな小春日和の穏やかな日は優しさが染みてくるしシミができた衣類を洗濯して干しますわな、良い天気…

葬式の家(さくさく)

どうか、愚かな私の体験談を聞いてほしい。 数年後のある日、砂利敷きの庭に入ってくる車の音で、昼寝から目が覚めた。聞き慣れないエンジン音。二つ折りにした座布団の枕から頭を起こすと、窓ガラスの向こうに安っぽい軽の商業用バンが見えた。ああ、あの軽…

一緒に入ろう(puzzzle)

「おっさん On The Corner」なんて愉快なロックナンバーがあってさ。口を閉じてハミングするには難しい。俺は湯船に浸かって小声でスキャット。 ランチキルカルカ ランチキルカルカ ランチキルカルカ ラン♪ ランチキルカルカ ランチキルカルカ ロンリーおっ…

北の大地に試されて(伊勢崎おかめ)

十年以上前のことだが、北海道は札幌に住んでいたことがある。大阪で生まれ育った私には、札幌はまるで外国のように思えた。なぜか。言い出すときりがないが、その理由を4点挙げてみたい。 1.言葉が違う 当然であるが、言葉が違う。近所の人に大阪弁のま…

あの賭け(にかしど)

『ああ、退屈なんてのはこの世でもっとも、くだらない感情だ』 こんなことを考えていた男の頭上の拡がりで一羽の蝶が気まぐれに飛行しているのを、退屈な男の眼は収めた。紋白蝶がいる。男はここにおいて、頭の中で即席の賭けを執り行った。この若者は、自身…

コショ 肋骨編(哲ロマ)

まずはじめに1つ、嘘をつかせてもらいたい。二十代の前半ほとんどをロンドンで過ごした。はい。気が済みました。「二十代の前半ほとんどを」と始まったのなら「ロンドンで過ごした」と続けたい。もしくは「牢獄で過ごした」でも良い。けれどそれは嘘になっ…

フェンスのおじさん(ヘリコプター )

僕の通学路に緑色の金網フェンスで囲まれた広い空き地があって、その中におじさんが一人いる。僕はおじさんのことをフェンスのおじさんと呼んでいる。 フェンスのおじさんはハゲてるけど、それ以外は校長先生みたいなちゃんとした格好をしている。フェンスの…

モテないサルはムカデが怖い(うにねこ)

皆様ご機嫌麗しく。今宵の案内人、うにねこです。ねこにゃー!(挨拶) 今から1つ、昔話をいたしましょう。 昔々の太古の昔、1匹のサルがいました。 サルは、厳密には今のようなサルではありませんが、便宜上サルと呼びます。 サルは、仲間のサルたちと一緒…

よしみは四文字じゃないし熟語じゃない(井沢)

家庭教師とはいえ人見知りだ。学生生活課で見つけた拘束時間に対し割りのいいアルバイトだった。数ヶ月前まで受験勉強をしていたから中高生の勉強ならば新たに技能を身に付けることなく手持ちの学力でできる。 生徒は主に14、15歳。学年で言うと中学2、3年生…

44,45/101(xissa)

鍋奉行がヤバい/ひなた剥がしてきて眠る

中村似の男(puzzzle)

中村俊輔が743日ぶりにゴールを決めた。特にサッカーファンというわけではない。所詮J2の試合だからネットでしか騒がれない。それでも俺はタイムラインに流れてきたそのニュースをクリックしていた。 「2年以上もシュート決めてなかったんだ」 モニタ…

地獄の詰め合わせ(伊勢崎おかめ)

昆虫が苦手である。昆虫に限らず、ムカデやクモなど、一般的に「虫」と呼ばれるものが大の苦手である。といっても、虫のことが苦手ではない、または、好きな人の方が珍しいだろうから、わざわざ発表することはないのかもしれない。 とりわけ、私が虫の中で苦…

パチスロ青春記(もんぜん)

自転車のべダルを必死に漕いだ。早く着きたいという気持ちがスピードへ変わっていく。心地よい風に幸運が訪れる予感がした。 着いた。ウエスタソ西葛西店。朝の7時にも関わらず、既に10人ぐらいの人が並んでいた。たかがパチスロのために全力を尽くす僕たち…

猫のような寝顔なのさ。(トミ子)

彼女は言う。「デート中で一番楽しいのは電車の中だ。くっついてるのが楽しい。」って。マスクをして、下を向いて俯く。めちゃくちゃひっついてるけど、気づいたら寝てる。喋れないし。でも彼女はそれが一番楽しいって言う。 彼女は説明が嫌いと言う。説明は…

42,43/101(xissa)

傘の柄で漸く引っかかっている/『村田』の柄杓を黙って借りる

ト凸凹芋(puzzzle)

アパートから線路を越えた側のスーパーマーケット、そこで売っているホタテの掻き揚げが好きだった。休日でなければまず足を運ばない。私は自動ドアを抜けると迷わずお総菜コーナーへ向かう。タマネギに包まれたホタテをカウントして、天ぷらパックを手にと…

同じ素材でできた別の町(井沢)

町内にある「びよういん」の椅子に座る。椅子の上には子供の座高を調整するために大きな消しゴムのような革張りの台が乗せられていた。これ、嫌だな。こどもみたい。いつになったら皆と同じように普通に椅子に座れるのだろう。ただ椅子に座るだけのことなの…

40,41/101(xissa)

貝柱に秋の風/さびしい場所でスイカが冷えている

はじまりは小栗旬(伊勢崎おかめ)

「小栗旬っているじゃん?俳優の」 「え?『ウシジマくん』に主演してた人?」 「違う、それは山田孝之」 「あたしが言ってんのは小栗句」 「ああ、山田優と結婚した?」 「そう、小栗甸」 「で?」 「こないださ、取引先と合コンしたんだけど、そこに超ブサ…

38,39/101(xissa)

ひまわりの影が細い/捨てられた扇風機が空を見上げている

亀と白ギャルと私(伊勢崎おかめ)

私の家は、田と畑に囲まれている。そして、野球場が10個は入るであろう巨大な池が近くにある。毎年、5月から7月頃にかけて、その池から亀が上がってくる。毎シーズン10匹前後は目撃する。体長25cm程のアカミミガメである。彼らは外来種であるので、…

もち米に罪はない

靴底に小さな中曽根が詰まっていた。春はニンニクである。魚の寝言はシチリアの風に吹かれたのであろうか? 吉岡は獨協大学出身だった。よく洗えていないフライパンを証拠として提出した。反復横飛びにおいて、反復がもっとも大事であることは言うまでもない…

日々(ボーフラ)

私が精神病棟の取材を終えて、帰りしな、自販機でコカ・コーラを買った時の事だった。旧知の知人に声をかけられた。彼はこの病棟で働いている。LINEを交換して、私はアパートに帰った。 そのまま連絡をする訳でもなく、私は、精神病棟の取材と並行して、ひき…

台所刑事(ゆふ)

クリアなスープと違い、チゲはアクも一緒に煮込む事で旨味が増す。 グツグツと煮えたぎる赤い汁を見ているうちに確信を持ち。携帯を手に取った。 「道明寺、被害者の子ども達の保育園を調べて。」 「深田さん、今何時だと思ってんすか!」 「朝の4時よ。チゲ…

36,37/101(xissa)

旨いが二度と作れない/全部売り切れ

錯覚をパラパラっと(哲ロマ)

【かき氷のシロップは色が違うだけで実は味全部同じ】緑色のシロップでメロン味、赤いシロップでイチゴ味、黄色でレモン味、色が違うだけでそういう味だと錯覚して食べている。実はその味は全部同じらしい。錯覚。ずっとそうだと思い込んでいたものが実は錯…

34,35/101(xissa)

あめ玉も夕焼けもすぐ溶けてしまう/失くす以前に持ってなかった

あはれならざる時間(伊勢崎おかめ)

かの清少納言は『枕草子』にこう記した。 「秋は、夕暮。夕日のさして、山の端いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛び急ぐさへあはれなり」 あっそ。じゃあ私は、あはれでないと思うものを挙げてみよう。逆に。 それは、…

32,33/101(xissa)

土踏まずは知らない泥の道/人のつむじしか見るものがない

パワハラ部長 (ボーフラ)

2004年12月5日 7:05:31 天気は晴天。だが心は本当にブルーだ。 今日も部長のパワハラがある。だが、こうやって ブログにそれを書けているというのが、数か月前と 比べて僕の進歩だ。 2004年12月8日 23:55:04 部長の失敗は、僕の失敗になった。具体的に 書け…