文芸ヌー

生活に負担の少ないブンガクを。 文芸ヌー

2016-04-09から1日間の記事一覧

自由律に散文(xissa)

チョウの標本を捨てる/ 寝て起きてまた食べている

父ぐずる(紀野珍)

眠気覚ましのシャワーのあとリビングに行くと、親父がヘコんでいた。 上下スウェットの親父は腹這いでカウチソファに横たわり、両手で抱えたクッションに顔を埋め、足をじたばたと動かしていた。うーうーというくぐもった呻き声に混じって、鼻を啜る音が聞こ…

短編小説「試金石」・散文詩「静かな夜」(ボーフラ・プロジェクト)

文芸ヌーをお読みの皆さん、こんにちは。ボーフラ・プロジェクト(棒振劇場)です。このたびメルマガの紙幅を頂戴致しまして、雑然としたもの、披露させて頂く次第でございます。自分の書き出し小説の冒頭を展開して、短編小説と散文詩を作りました。ではど…

今日(大伴)

メトロは朝から真っ暗だ。車窓にぶらぶらと揺れる手首が明るみに溶け、高速で過ぎゆく人々がやがてゆっくりと止まる。ターザンロープの軌跡で人の頭にぶつからぬよう、俺は笹舟を浮かべるかのごとくそっと吊革をはなした。LEDライトで冷たく染まったホームに…

まがいもの(小夜子)

若い祖父母の隣にわたしの顔をした女が立っている。 ずいぶん昔にしまい込んだものを探すため、あっちだこっちだと箪笥を引っ掻きまわしているとアルバムが一冊まぎれて出てきた。革張りの立派な装丁だったが、埃をかぶってしなしなとカビ臭く、ひと目みて古…

チュンタク和尚(義ん母)

大晦日。碧眼の修行僧が鐘を搗き終わると、その眦はチュンタク和尚に向けられた。既に鐘は百八回叩かれた後のことで、これより先は煩悩の彼岸ということになる。最も高位とされる紫の袈裟に身を包んだチュンタク和尚は「ちょんけい。ちょんけい」と、般若心…

グラビアポエム 第四回 (g-udon)

「パトラッシュ・・疲れたろ・・僕も疲れたんだ・・・。何だかとても眠いんだ・・・。ねえパトラッシュ・・返事して・・・あれっ?・・・こ、これはただの丸太!!! 奴め、変わり身の術を使いよったか!」・・・はい、というわけでg-udonです。激動の2016年…

飛 訳 ~第4回 “Spring has come.”~ (suzukishika)

夏目漱石が"I love you"を「月が綺麗ですね」と訳したように。あるいは、戸田奈津子のアクロバティックな字幕のように。 「飛訳」とは、簡単な英文をいかにジャンプして訳せるか、それだけにフォーカスして楽しもうじゃないかという新しい文芸形式である。 …

空瓶 (suzukishika)

ガムテープの貼りめぐらしかたですぐにあの人からの荷物だとわかった。箱の天面、側面、底面を隙間なく切れ目なく何重にも繭のように覆い尽くしそれ自身で一定のクッション性を獲得していた。まったく理に適っている。さすがあの人だなあと思う。 端っこから…