文芸ヌー

生活に負担の少ないブンガクを。 文芸ヌー

ごあいさつ (天久聖一)

文芸というとなにやら高尚に聞こえるけれど、つまりは文をつかった芸である。私にとって文芸は、芸術というより演芸に近い。高い理想を追うよりも、もっと身近な相手を想定したささやかな自己表現。 その芸は巧くなくていい、磨かれてなくていい。どうにかこ…

38,39/101(xissa)

ひまわりの影が細い/捨てられた扇風機が空を見上げている

2019年7月のおしながき

文芸ヌー第21号

亀と白ギャルと私(伊勢崎おかめ)

私の家は、田と畑に囲まれている。そして、野球場が10個は入るであろう巨大な池が近くにある。毎年、5月から7月頃にかけて、その池から亀が上がってくる。毎シーズン10匹前後は目撃する。体長25cm程のアカミミガメである。彼らは外来種であるので、…

書き出し自選・井沢の5作品(井沢)

「書き出し小説大賞」の作家が自身のオススメ作品を紹介する「書き出し自選」。第14回を担当いたします、井沢です。普段は語感だけで単語を転がして遊んだり、イラストを描いたりしています。 デイリーポータルZのいち読者だった私が書き出し小説大賞に投稿…

もち米に罪はない

靴底に小さな中曽根が詰まっていた。春はニンニクである。魚の寝言はシチリアの風に吹かれたのであろうか? 吉岡は獨協大学出身だった。よく洗えていないフライパンを証拠として提出した。反復横飛びにおいて、反復がもっとも大事であることは言うまでもない…

日々(ボーフラ)

私が精神病棟の取材を終えて、帰りしな、自販機でコカ・コーラを買った時の事だった。旧知の知人に声をかけられた。彼はこの病棟で働いている。LINEを交換して、私はアパートに帰った。 そのまま連絡をする訳でもなく、私は、精神病棟の取材と並行して、ひき…

台所刑事(ゆふ)

クリアなスープと違い、チゲはアクも一緒に煮込む事で旨味が増す。 グツグツと煮えたぎる赤い汁を見ているうちに確信を持ち。携帯を手に取った。 「道明寺、被害者の子ども達の保育園を調べて。」 「深田さん、今何時だと思ってんすか!」 「朝の4時よ。チゲ…

36,37/101(xissa)

旨いが二度と作れない/全部売り切れ

錯覚をパラパラっと(哲ロマ)

【かき氷のシロップは色が違うだけで実は味全部同じ】緑色のシロップでメロン味、赤いシロップでイチゴ味、黄色でレモン味、色が違うだけでそういう味だと錯覚して食べている。実はその味は全部同じらしい。錯覚。ずっとそうだと思い込んでいたものが実は錯…

2019年6月のおしながき

文芸ヌー第20号

書き出し自選・suzukishikaの5作品(suzukishika)

おぴんぴん! suzukishikaです。お世話になっております。 人生のほぼ全期間を北海道で暮らしていますが、1年だけ上京したことがあります。そのとき北海道に恋人を置いていったという実体験を元に書いたコピーが数年前にことのほかバズりまして、今に至るま…

34,35/101(xissa)

あめ玉も夕焼けもすぐ溶けてしまう/失くす以前に持ってなかった

2019年5月のおしながき

文芸ヌー第19号

あはれならざる時間(伊勢崎おかめ)

かの清少納言は『枕草子』にこう記した。 「秋は、夕暮。夕日のさして、山の端いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛び急ぐさへあはれなり」 あっそ。じゃあ私は、あはれでないと思うものを挙げてみよう。逆に。 それは、…

あらすじ小説

《小説のあらすじだけを書く企画。文体は自由ですが、書きづらい人は文庫本の解説っぽく書いてみてください。》 物語の書き出しだけ書くのが趣味なひとたちが、がんばってもうちょっとたくさん書きました。今回はゴールデンウィーク特集です。5月1日から25…

書き出し自選・流し目髑髏の5作品(流し目髑髏)

書き出し自選・私の5作品 #流し目髑髏 #吉田髑髏 皆様、令和ですね。 令和初日何をしていましたか? 私は右脹脛の肉離れで足引き摺ってまぁまぁ大変でした。 健康第一、令和イズヘルシーで残りの令和を駆け抜けたい所存です。 流し目髑髏と吉田髑髏。私は書…

32,33/101(xissa)

土踏まずは知らない泥の道/人のつむじしか見るものがない

2019年4月のおしながき

文芸ヌー第18号

パワハラ部長 (ボーフラ)

2004年12月5日 7:05:31 天気は晴天。だが心は本当にブルーだ。 今日も部長のパワハラがある。だが、こうやって ブログにそれを書けているというのが、数か月前と 比べて僕の進歩だ。 2004年12月8日 23:55:04 部長の失敗は、僕の失敗になった。具体的に 書け…

書き出し自選・prefabの5作品(prefab)

Buenas noches! (こんばんは!)最近一緒に働いているスペイン出身の方が日本語の勉強してるのを見て、折角なので隣でスペイン語の勉強を始めたprefabです。3週間ほど経った今、私はえっちらおっちら続けてるのですがスペイン人の方はもう日本語の勉強に飽…

書き出し自選・小夜子の5作品(小夜子)

こんにちは、小夜子です。平成も終わりかけのいま、まさしく棚ぼた的にご指名をいただき、今回の「書き出し自選」を担当いたします。 ご指名ありがとうございます。一度は言ってみたい言葉じゃないですか?「ご指名ありがとうございます」って。普段生活して…

上/下品(伊勢崎おかめ)

現在、小学5年生の息子から聞いた話である。 息子が4年生の時、5年生の担任に、「出っ歯でメガネの痩せたおばさん」先生(以下、X先生とする)がいたらしい。X先生の指導は非常に厳しく、授業中のみならず、休み時間中であっても、児童が不適切な発言や…

「書き出し自選」のおしらせ

ごうがいだよ。 あのね、「かきだしじせん」ね、しょじじょうにより つぎはさよこちゃんのたーんになりました。 ぱちぱちぱち。 へいせいのうちにとうこうしたい、ってさよこちゃん ぶあついいきごみをかたってましたので みなさんおたのしみにね。 ヌーより…

31/101(xissa)

空瓶美しく酔っている

ただ夜を走る(哲ロマ)

帰宅する。今日もなかなかハードな一日だった。靴を脱ぎ鞄を降ろし、ふと時計に目をやる。迷ってはいない、答えは決めていた。迷っているフリをしただけだ。やれやれ、疲れたんじゃないのか、お前もしかして、やるつもりかいもう一人の自分が呆れて僕に語り…

2019年3月のおしながき

文芸ヌー第17号

散文詩(ボーブラ)

僕は電車を待っていた。とても疲れているので、駅のホームに座り込む。喉がひどく乾くので、ペットボトルのお茶を飲む。それでも足りないので、妹が持たせてくれた水筒を飲む。もうまるで立ち上がれないみたいだ。 電車がゆっくりと近付いてくる。僕は奇声を…

ミスチル (渡辺宏)

渡辺宏さんは、町役場を定年退職したのちリタイアライフを謳歌する、御年71歳の謹厳実直な男性です。

29,30/101(xissa)

ワイパー空振って町は滲んでいる/灼けつく駐車場の無口