文芸ヌー

生活に負担の少ないブンガクを。 文芸ヌー

ごあいさつ (天久聖一)

文芸というとなにやら高尚に聞こえるけれど、つまりは文をつかった芸である。私にとって文芸は、芸術というより演芸に近い。高い理想を追うよりも、もっと身近な相手を想定したささやかな自己表現。 その芸は巧くなくていい、磨かれてなくていい。どうにかこ…

KOKW (紀野珍)

DAI語をノベライズする

書き出し自選・小夜子の5作品(小夜子)

こんにちは、小夜子です。平成も終わりかけのいま、まさしく棚ぼた的にご指名をいただき、今回の「書き出し自選」を担当いたします。 ご指名ありがとうございます。一度は言ってみたい言葉じゃないですか?「ご指名ありがとうございます」って。普段生活して…

上/下品(伊勢崎おかめ)

現在、小学5年生の息子から聞いた話である。 息子が4年生の時、5年生の担任に、「出っ歯でメガネの痩せたおばさん」先生(以下、X先生とする)がいたらしい。X先生の指導は非常に厳しく、授業中のみならず、休み時間中であっても、児童が不適切な発言や…

「書き出し自選」のおしらせ

ごうがいだよ。 あのね、「かきだしじせん」ね、しょじじょうにより つぎはさよこちゃんのたーんになりました。 ぱちぱちぱち。 へいせいのうちにとうこうしたい、ってさよこちゃん ぶあついいきごみをかたってましたので みなさんおたのしみにね。 ヌーより…

31/101(xissa)

空瓶美しく酔っている

ただ夜を走る(哲ロマ)

帰宅する。今日もなかなかハードな一日だった。靴を脱ぎ鞄を降ろし、ふと時計に目をやる。迷ってはいない、答えは決めていた。迷っているフリをしただけだ。やれやれ、疲れたんじゃないのか、お前もしかして、やるつもりかいもう一人の自分が呆れて僕に語り…

2019年3月のおしながき

文芸ヌー第17号

散文詩(ボーブラ)

僕は電車を待っていた。とても疲れているので、駅のホームに座り込む。喉がひどく乾くので、ペットボトルのお茶を飲む。それでも足りないので、妹が持たせてくれた水筒を飲む。もうまるで立ち上がれないみたいだ。 電車がゆっくりと近付いてくる。僕は奇声を…

ミスチル (渡辺宏)

渡辺宏さんは、町役場を定年退職したのちリタイアライフを謳歌する、御年71歳の謹厳実直な男性です。

29,30/101(xissa)

ワイパー空振って町は滲んでいる/灼けつく駐車場の無口

CM考察~フジパン本仕込編~(伊勢崎おかめ)

そのCMを見て、「あんた誰やねん!?」と思った。何のCMの誰に対してそう思ったのか。2019年3月上旬現在放映されている、フジパン本仕込のCMに出演している、女優の松下由樹氏に対してである。 画像を貼れば「あぁ、このCMか」とすぐご理解頂け…

2019年2月のおしながき

文芸ヌー第16号

田舎の駅にて(ボーフラ)

ローカル線の知らない駅に用事があり、下車した。駅前にある自販機に、ここにしかない珈琲があると、ネットで読んだ。僕がそれらしき自販機に近付くと、その自販機は既に営業を停止していた。ネットの写真自体が嘘だった。そもそも場所が違う。騙された。次…

井筒監督 (大伴)

先月の話。近所の焼き鳥屋にひとりで入店。カウンター席に案内されると、左5メートルほど離れた席に先客がいた。男はすでに酔っ払っている雰囲気で、カウンター内の店長と会話に花を咲かせていた。僕はそちらを直視することはなかったが、その特徴的なダミ声…

全力フィーカ(哲ロマ)

スウェーデンにはフィーカの習慣があるのだとカーラジオが言っていた。 フィーカとは何なのか、フィーカとは、まあ、ラジオから聞いた情報を自分なりにまとめてざっくり言うと、同僚、友人、恋人、家族とコーヒーやら紅茶やらを飲んだりパンやらお菓子やらを…

勝手に寄り添わないでください(伊勢崎おかめ)

近年、主にサービス業の広告などでよく目や耳にする言葉がある。 それは「寄り添う」である。 ・お客様一人ひとりに寄り添う対応を実現するために ・お客様にそっと寄り添うサービスを ・「まごころ」を込めてお客様に寄り添う これらは実際に広告で用いられ…

28/101(xissa)

港町錆びて軋む

トシと鎧と豆まきと(井沢)

「お呼びしましたゲストは、今年、年ヨロイヅカでもある鎧塚トシ彦さんですどうぞ〜」「何ヨロイヅカもたいてい僕になりません?」「お集まりの皆さま、節分をもって暦は春!新しい一年の始まりです。さ、鎧塚さん、豆をどうぞ」「これはまた立派な純金の升…

ばあちゃん (紀野珍)

四台のストーブでぼんやりと温められた広間の隅々に、抑揚のきいた読経が行き渡る。 師走。北東北の午後二時。陽はだいぶ高度を落としているが、窓の外はまぶしいくらい明るい。うずたかい根雪に反射して射しこむ光が、祭壇と、パイプ椅子に腰かけて故人を悼…

ワガクニ。(小夜子)

『うわさのヒューマン』と同時期に発表した作品です。こちらも再発行の予定がないので公開します。ご購入下さった方、お手に取って下った方、ありがとうございました。

2019年1月のおしながき

文芸ヌー第15号

書き出し自選・xissaの5作品(xissa)

xissaです。きさ、と読みます。 ほんとにそう読んでいいのかどうか、私も詳しいことはわかりません。 検索すると「もしかしてissa?」と訊かれますが私はDA PUMPではありません。USAではないのです。 私のxissaは ここの、 ここ です。行ったことはありませ…

マスオのやつ(哲ロマ)

いつかの夕食の時、何のきっかけだったかは忘れたが、奥さんと、サザエさんの中で流れるいろんな音楽の話になった。てってれてれれれてれって〜、てってれてれれれてれって〜、てってれてれれ、てってれてれれ、てれれてれれてれてれって〜それな主に何事も…

ボジョレーヌーボー (大伴)

妻は風呂に入り、義実家のリビングには私と義父が残された。義父とは仲が微妙なわけでもないが、そこまでフランクに会話を続けられるような関係でもない。どことなくこわばる空間。古いディズニーのクロックだけがリビングに時を流す。義父は必要がなければ…

ツイン(哲ロマ)

仕事であちこちへ行く。仕事仲間をトラックの助手席に乗せ遠くへ行く。仕事仲間と二人で遠くのビジネスホテルに泊まる。経費を節減するため時には男二人でツインルームに泊まる。まあ一泊だけだし、相手がどんな人であろうが、ほとんど寝るだけの一泊だし、…

蝋人形の部屋(ボーフラ)

数年前から通っているバーのバーテンダーの部屋に招待された。その夜はバーに官憲が巡回に来て、やれアルコールの度数が強いだの、やれ喫煙席から煙が漏れているだの(カーテンで遮蔽しているだけだ)、全く商売にならなかったので、僕とバーテンダーは、肩を…

いのち(伊勢崎おかめ)

牧場に遊びに行った。そこは、乳搾りやバター作り体験のできる牛の牧場だった。他にも、搾りたての新鮮な牛乳の試飲や、乳製品の販売なども行っていた。食べてはいないが、搾りたての牛乳で作ったソフトクリームはさぞかし美味だろう。 牧場内をうろうろして…

「書き出し自選」のおしらせ

やあヌーだよ。ヌーっとあけましておめでとう。 ことしもどうぞよろしくね。 あのね。「かきだしじせん」なんだけど、 つぎのごしめいのまさゆめのさんにんめちゃんがごたぼうにつき いっかいぱす、だそうです。 で、へりこぷたちゃんとのそうだんのうえ、つ…

26,27/101(xissa)

おみくじが良すぎる/制服の自分がすごく他人だった