文芸ヌー

生活に負担のないブンガクを。 文芸ヌー

ごあいさつ (天久聖一)

文芸というとなにやら高尚に聞こえるけれど、つまりは文をつかった芸である。私にとって文芸は、芸術というより演芸に近い。高い理想を追うよりも、もっと身近な相手を想定したささやかな自己表現。 その芸は巧くなくていい、磨かれてなくていい。どうにかこ…

20,21/101(xissa)

パチンコ店喫茶白ばら総菜屋の並び/アンティークといえばそうだが

私の答え (紀野珍)

「無人島に何かひとつだけ持っていけるとしたら、何を持っていく?」という設問があります。設問というと大袈裟ですね。ある種の心理テストや思考実験のようなもの、明け透けに言えば雑談のネタです。みなさんもこれまでに一度くらいは、したり、されたりし…

書き出し自選・ヘリコプターの5作品(ヘリコプター)

初めましてヘリコプターです。 ヘリコプターは全く好きではありませんが真顔で「ヘリコプターです」って言うのがアホらしくて好きなんだと思います。 書き出し小説は74回から参加してます。きっかけは第一弾の単行本をたまたま本屋で見つけ、何度もトイレ…

なぞを解く ホチキス編(哲ロマ)

謎はすぐに解けてしまう。検索してしまえばすぐに解けてしまう謎、だけど検索をしないまま、ただぼんやり謎のままにしてしまう謎、そういう謎がある。要は、まあいいか、と思える謎。朝起きたらなんか耳毛だけものすごくのびている!肩まで届く程に!そんな…

2018年9月のおしながき

文芸ヌー11号

呼吸 (紀野珍)

「池端?」「おう、高見じゃん。ひさしぶりー」 平日の昼下がり。近隣住民には抜け道としても利用される住宅街の公園で、かつて漫才コンビを組んでいたふたりの男が再会した。 晩秋の日差しは強く、遊具から遊具へと駆け回る子どもたちは、深い穴のように濃…

さよなら夏休み特別企画「あらすじ小説」

小説のあらすじだけを書く企画。物語の書き出しだけ書くのが趣味なひとたちが、がんばってもうちょっとたくさん書きました。

行ったことのない国の旅行記 ~スペイン編~(伊勢おかめ)

5月。マドリードのプラターニャ空港に降り立って吸い込んだ空気は、とても乾いていた。「マドリード」という地名は、「半島の大いなる母」という意味らしく、なんだか、母に抱かれているような温かな気持ちになった。ターンテーブルから荷物を受け取って税…

あの頃のwww(ボーフラ)

「うん、だから、public_htmlの中に、君のフォルダがあるだろ。そこにアップロードするんだ」 「public_htmlの中に、wwwというフォルダがありますけど…」 「そう、その中の、kiuchiというフォルダが、君のスペースだ」 2002年、僕は大学のゼミのホームページ…

書き出し自選・もんぜんの5作品(もんぜん)

こんにちは。書き出し小説の作家が自身のオススメ作品を紹介する「書き出し自選」。その第7回を担当するもんぜんです。岩手県出身です。みかんと海苔とルヴァンプレミアムと鳩サブレーが大好きです。たまに門前日和という名前で脚本を書いたりします。大学の…

19/101(xissa)

背中の夕焼けがすごいらしい

気配(井沢)

録画の緑のランプを見ている。この家から誰もいなくなる時間を初めて経験している。留守だ。「ひとりで待ってるよ」と言ったのは自分からで、それが意外にもすんなり受け入れられ、降って湧いた初めてのお留守番だった。いつもは赤く光るランプが、今は緑色…

犬のいる暮らし (紀野珍)

犬の顔が目の前にあった。ぎゅっとまばたきをしても、まだあった。 犬はわたしの瞼や眉間に鼻を近付け、ふすふすと匂いを嗅いでいる。鼻息と硬い髭が肌をくすぐる。これをやられると、どんなにぐっすり寝ていてもかならず目が覚める。 はいはい、おはようと…

あらすじ小説

小説のあらすじだけを書く企画。文体は自由ですが、書きづらい人は文庫本の解説っぽく書いてみてください。 ヲタクのくせにッ! 投稿者: 紀野珍 偶然の壁ドンで、こんなに好きになっちゃうなんて――。学園祭の準備中、陰で「キモヲタ」と呼んでいた高瀬を意…

2018年8月のおしながき

NEWヌー10号

Re 白菜(哲ロマ)

何曜日だ。「何曜日だ」声に出して言ってみた。とくに意味はないが、なんとなく、一人で居るこの部屋で、起きてすぐ、思ったことを声に出して言ってみた。想像以上に小っ恥ずかしい。なんでセリフ口調なんだ。小っ恥ずかしい。小っ恥ずかしさからほんのり鳥…

六人の女たち(小夜子)

店に入ると既に全員揃っていた。私の椅子だけがぽっかりと空いている。彼女たちは遅れて入ってきた私をチラと見て、相変わらずねと嫌味を隠さず口にした。「その遅刻癖、直したほうがいいんじゃない」 私が椅子に座るための隙間を作ってくれながら、髪の長い…

スナック青い鳥(伊勢崎おかめ)

今夜は雨降りだからかお客さんが来ないねぇ、アケミちゃん。ちょいと灰皿取ってくれるかい?あぁ、悪いねぇ。しばらくお客さんも来なさそうだし、アタシの昔話でもしようか。 アタシんち、父ちゃんが酒乱でろくに働きもしないから、母ちゃんが内職してアタシ…

夏風 (紀野珍)

背中を撫でられた感触で目が覚める。 顔を上げると、一面の白。その白は波打っていた。 ——ああ、カーテンか。 窓から吹き込む風を受けて、ヨットの帆のようにカーテンが大きく膨らんでいた。 ここは教室。自分の席。寝起きの頭を駆動し、状況を把握する。ど…

17,18/101(xissa)

他人の家のさわやかな朝 /途中の空を見上げる

スサタチリイナカカエマテアドフヨセケホヒマモコクバニカスナ(もんぜん)

スサタチリイナカカエマテアドフヨセケホヒマモコクバニカスナに育てられた少年が見つかった。 少年は長野県の森の奥で発見された。少年は四足歩行で言語能力はなく、何を聞いても「うがぁ」とか「ぐわぁ」としか言わなかった。ただ少年は紙切れを握っていて…

文学に夢中作左衛門(ボーフラ)

rt { font-size: 12px; } div.fntbfr h1 ruby > rt { font-size: 20px; color:green; } div.fntbfr{ font-size: 20px; color: #000; font-family: Georgia,游明朝,YuMincho,HGS明朝E,メイリオ,Meiryo,serif; font-weight: normal; 40px; } div.bofurawriter{…

五月十七日、木曜日 (紀野珍)

約束の時間からちょうど三十分遅れで店に着いた。 予約している旨を店員に告げると、こちらへどうぞと奥の個室に案内される。週末の居酒屋は、仕事終わりの勤め人や喧しい学生らでごった返していた。 四人掛けの座敷席に澤野と千穂がいた。 「おう、お疲れ。…

ヒップホップ文学(井沢)

被ったフードにサングラスの兄ちゃんが向かいの席に座った。ドクロの指輪を付けたほうの手に文庫本を開いている。電車は光のどけき午後、座席もやや空いている。何の前ぶれもなく、空いてるほうのいる手でヒップホップなキメ仕草を2、3ポーズキメた。目線…

タメ口 (大伴)

世の中の店員さんを観察していると、2つのタイプが存在することに気が付きます。それは「子供にタメ口を使うタイプ」と「子供相手でも敬語でやり通すタイプ」です。前者は客が子供だと判断すると「ちょっとまってねー」「ありがとねー」といった調子でフラン…

2018年7月のおしながき

NEWヌー第9号

グラビアポエム 第八回 (g-udon)

最近何を思ったか体を鍛えはじめた。週二でジムに通いだして4カ月、そこそこ筋肉が付いてきたように思うが、元々がスルメのように貧弱だったためで、以前に比べればという程度だ。理想は竹内涼真だが、骨格、年齢、顔といろんな意味で無理だ。わかっている。…

16/101(xissa)

引き返し時を見失ってさらに右折

自転車(ボーフラ)

何度も職務質問に捕まった原因である自転車を捨て、新しい自転車を買う。良い自転車ですねなんて言われるが、古い自転車はまだ乗れたし、これに乗ってリハビリ病院(入院中の洗濯物を回収しなくてはならない)も山の上にある大学(ただし、遅刻してインシデント…